長年培った目と技活かし常に〝納まり〟を追求 市原敏一

市原敏一さん

家づくりを始めたのはいつですか?

16歳やね。もともと田舎は京都の美山で、家は茅葺き屋根。外で遊ぶのは好きで、 夏は川へ行ったりして。逆に勉強は嫌いやったし、中学を出てから職業訓練所へ 1年通い、それから親方について丁稚から始めたんです。


親方は厳しかったですか?

そりゃあ手をとって教えてくれるような親方は居いひんよ。 見て盗めという感じで。修業を始めて1年後に工務店を移っ て、そこに居たのが、独立後一緒に仕事をすることになる中 塔さんですわ。


一緒に仕事をして何年ですか?

もう50年近く。仕事でずっと一緒やから、家族と居るより長いかもしれんね。「今日のあれな」とか言っても、仕事でずっとにいるからすぐ分かる(笑)。

市原敏一さん

エビナ製材の木の家を手がけるきっかけは?

そもそも材木屋さんやからね、相当前から知っていたんです。最初は先代から声がかかったのがきっかけで。お父さんと同じで海老名さんも面倒見がええわね。人を絶対に怒らないし、それでいて業者になめられることもない。仕事ができるし、冗談もよう通じるよ。


家を建てる上で大切にしていることは何ですか?

一番は「納まり(部材同士の取り合いや仕上がりなどの出来具合)」やね。図面通りせなあかんけど、エビナさんは任せてくれるから、納まりのよさを考えてある程度アレンジも。図面を見ながら話し合ったり、こうしたらどうかと提案したりもするよ。


市原敏一さん


大工という仕事のやりがいは?

施主さんに喜んでもらうこと。
大工の仕事に関して施主さんが満足してくれたらそれが一番です。


木の家の魅力とは?

木の家は落ち着きやあたたかみがあって、日本人に適している。床なんかは ちょっと柔らかくて肌触りの良い日本の木、構造材やウッドデッキは腐りにくい アメリカの木。ツーバイフォーなんかは2インチ、4インチの木ばっかりで俺らに 言わせたら味がないけど、エビナ製材の家はいろんな木を扱えて面白い。 大工に定年はないから、いつまでも作りたいね。


市原敏一さん


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