居心地よくて開放的子どもたちも集まる家になりました。 / 京都府京田辺市・小林様邸
なぜ木の家を建てようと?
僕は転勤が多くて、家族でマンションを転々としていたんですね。庭もないしベランダも狭く、ゆっくりできなかった。それで長男の小学校入学にあわせて家を建てようと決めたんです。息子はぜんそく持ちなので“できるだけ化学物質を使わず自然素材で”というのが譲れない条件。子どもが走り回っても大丈夫な、友だちがいっぱい集まるような家、子どもたちがのびのび育てる家がいいなと考えました。
ウェブサイトからエビナ製材を選ばれた理由は?
設計は私の父の古い友人の建築家さんにお願いしていて、その後工務店に見積もりを出したら施工費がものすごく高くて他を探そうかと。まず父がインターネットで検索してエビナ製材のサイトを見つけ、私たちも木の家の写真に心ひかれて、言葉にもこだわりを感じるなと問い合わせてみたんです。設計図の持ち込みはダメという注文住宅の工務店が多いのに、エビナ製材の海老名さんは快く「いいですよ」と言ってくださいました。
ロフトを設けることで上部の空間も有効利用。収納スペースに、子どもたちの秘密基地に
二階スペースは現在、子どもたちの遊び場に
梁にはブランコが。木製の腰掛け板に穴を開け、丈夫なロープを通して作成
ご夫婦の家づくりのこだわりは?
二人とも“外と中でギャップがある家”にしたかったので外観は黒を基調に、家の中はあたたかい感じに。構造材は無垢材で、梁はすべて見せようと考えました。開放感にもこだわって一階のリビングは吹き抜けに。 上下階の声が聞こえて家族がどこにいるかすぐ分かるでしょう。リビングと隣の和室には、風通しと明るさを考慮して南北で向かい合う大きな窓を。そして二階にはデッキテラス。一緒に食事したり星を見たりできたらなと。
ワガママは十分言えましたか?
いろいろ言いました(笑)。 例えば僕は玄関のドアについて。黒基調の外観に映えるように、窓枠はシルバー系の色にして、ドアも同色でそろえたいなと。ところが探しだしたものが設計のサイズより大きかったんです。そこで海老名さんが機転を利かせて元の設計を少し変えてくれて、気に入ったドアをつけることができました。
黒&シルバー基調の外観にして、中には木のぬくもりをたたえる意外性のある家
デッキテラスは約六畳と広々
開放感を重視してあえて屋根は設けなかったそう
望遠鏡をすえて星を見たり、ホットケーキを焼いたりと家族で楽しむ場所に
奥様が学生時代ヨットをしていたことから、外灯は船舶用の照明に
コストカットの工夫は?
構造材は全部無垢材で、でも予算が…と悩んでいたら、海老名さんから「ご自分たちで壁を塗ってみたらどうですか」と提案が。そこでお客様の目につく一階の和室とリビングは職人さんにお願いして、それ以外は夫婦や家族で、海老名さんにも手伝ってもらって塗りました。初めはしんどかったのが徐々に楽しくなって、塗り終わるのが寂しいくらい。家づくりに参加すると思い入れが強まりますね。普通は壁なんて見ないでしょうけど、自分たちで塗った壁はよく見る気がします。
この家の好きな場所、こうすれば良かったと思うところは?
実はキッチンを木やタイルで作りたかった。でも良い状態で保つのは手間がかかると聞いて、そこに時間をかけるより子どもと一緒に過ごしたいなと思い切りました。好きな場所は、吹き抜けと窓があって開放的なリビングと和室。和室は床面を高くし、リビングのイスに腰かけた人と目線の高さが合うよう作ってもらったので、ここに座っておしゃべりしたり、もちろんゴロゴロしたり。大きなデッキテラスも気に入っています。
高い天井には杉板を採用。天井や梁が映えるよう照明はシンプルに。採光・通風を考えて上部に設けた窓からは昼は青空、夜は月が見える
リビングは吹き抜けで上下階がひと続きの空間に。近所の子どもたちもやってきて、一階と二階でボールを投げ合って遊ぶことも
作りつけの本棚。部屋割りなども決めすぎず、家族の成長とともに変化させていく予定
玄関から入ってすぐ、和室の窓ごしに竹林の眺めが広がってお客さんを喜ばせるそう。いずれは奥様が習っている琴の教室もここで。畳の下には掘りごたつの設えが隠れている
二階の壁には、壁塗りを手伝ってくれた子どもたちの手形が。家に刻んだ家族の記憶に
この家に住んでみて暮らしや家族に変化はありましたか?
帰ってくると木の香りがして毎日贅沢だなあと思いますね。子どもたちは家のあちこちを遊び場に。長男のぜんそくもまったく出ていませんよ。ちょっと窓を開けているだけでカビは全然生えないし、部屋干ししても湿気を感じない。あとは庭ができたので、心のゆとりも。部屋数ももっとあったら便利なんでしょうけど、庭が欲しかったので小さく作ってもらったんです。庭には家庭菜園を作って、みんなで野菜を育てています。
今後そろえたいものは何ですか?
テレビボードやパソコン用の机といった家具。無垢材のものを徐々にそろえていきたいですね。長男の机をおいている二階のスペースにはそのうち一枚板をはって、みんながパソコンを見たり本を読んだり勉強したりできる共有空間にしたいなと思っています。
みんなと話をしながらご飯を作れたらいいなと、キッチンは対面式を採用
階段を上がってすぐ、壁面を兼ねて収納スペースを設置
このお家が大好きなお嬢さん
玄関には子どもたちの足形も
家庭菜園ではバジルやトマトがすくすく生長中
エビナ製材へひとこと
設計図を持ち込むというワガママを聞いてもらえて、とてもありがたかった。施工中もいろんなところで意見を聞き、無理なことを相談しても一緒になって考えてくれて「こうしていきましょうか」と提案も。柔軟に対応してもらえて本当に満足です。壁塗りの際も一緒になって夜遅くまで塗ってもらって良い思い出になりました。
これから家を建てる方にメッセージを
初めてのことで何も分からなかったけど、相談したら快くのってもらえました。遠慮せず何でも話していいと思いますよ。施工に参加すれば、跡を見るたびそのときのことが思い出されて、家への愛着が深まります。達成感があって結構くせになります(笑)。
ありがとうございました。
(インタビュー:茂内希保子 撮影:江原英男)